未来の建築とAI- トップアーキテクト、豊田氏に聞くStable Diffusionの可能性

「未来を築く」。それが建築家の真骨頂といわれます。画像生成AIはその未来を作る建築家の皆さんにとっての有効なサポーターになり得るのか、今回は、建築界で活躍する東京大学生産技術研究所の特任教授で、NOIZの豊田氏に、AIと建築の新しい関係について聞いてきました。




NOIZは、東京と台北を拠点に様々な建築、インテリアデザインを手がけており、来年開催される大阪・関西万博の注目パビリオン『null2』の設計も担当しています。そのパビリオンは、落合陽一プロデューサーが主導し、NOIZが設計を行うという、まさに異才が集結した大注目のプロジェクトとなっています。

落合陽一プロデューサーのパビリオン概要(動画はこちら)。

この世界に通じる建築家である豊田氏が、現在どのように画像生成AIを活用し、未来の建築にどのように反映させていくのかを伺いました。(本ブログの画像はすべてNOIZがstable diffusionで生成しました。)




「私たちは画像生成AIを主にブレインストーミングの場面で利用しています。特に、メンバーと言葉と抽象的なイメージの共有する際には大変便利です」と豊田氏。AIを活用することで、アイデアの具体化からまとめる過程が短時間でできるようになったとのこと。





今一番頼りにしているのは「Stable Diffusion(SDXL 0.9)」です。以前は他の画像生成AIを利用していたということですが、「SDXL 0.9のアップデートにより、具体性やエッジの利き方が大幅に向上したことから、現在はこれを使い続けています」と話します。

具体的な使い方を伺うと、「例えば、ブレインストーミングで『19世紀のブルックリンの倉庫』『レンガと鋳鉄の構造物』『アーチ状の小屋』というキーワードが出てきたとき、それらすべてを含んだ画像を一気に生成することができます。これまでは各要素を個別に画像検索し、一つずつ合わせる作業が必要でしたが、その手間が大幅に省けるようになりました」とのこと。

さらに、未来の画像生成AIについては、「最近では建築学生たちが、特定の建築家風のプロンプトで画像を生成することが流行っています。未来では建築家によって、生成AIできちんと生成される、されない、みたいな判断の選択肢が増えるのかもしれないですね」と予想します。


新しい技術の進化は、建築家だけでなく、さまざまな業界の方々にとっても刺激的なヒントになります。そして、それが皆さんの創造性を高める力となることでしょう。私たちは、Stable Diffusionがより多くの方々に利用され、新しい創造の一助となることを期待しています。


豊田啓介

1996-2000年安藤忠雄建築研究所。2002-2006年SHoP Architects (New York)。2007年より東京と台北をベースにNOIZを蔡佳萱と設立、2016年に酒井康介が加わる。建築や都市領域へのデジタル技術の導入と、新しい価値体系の創出に積極的にかかわる。建築情報学会副会長(2020年~)。大阪コモングラウンド・リビングラボ(2020年)。一般社団法人Metaverse Japan 設立理事(2022年~)。2021年より東京大学生産技術研究所インタースペース研究センター特任教授。

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